チケットJCB TOP

2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演
チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』製作発表レポート特集

『爆烈忠臣蔵』製作発表集合写真 『爆烈忠臣蔵』製作発表集合写真

撮影:田中亜紀

7月末、都内某所で2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』製作発表が行われました。
本興行は9月の松本公演、10月の大阪公演を経て11月に東京・新橋演舞場にて公演されます。
この日の製作発表は看板俳優の古田新太、劇作家の中島かずき、演出のいのうえひでのりを筆頭に、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、羽野晶紀、橋本さとしといった劇団員・元劇団員が勢ぞろい。さらに小池栄子、早乙女太一、向井理ら豪華ゲスト陣も加わり、彩りを添えます。
この日の製作発表をオフィシャルYouTube liveで配信といった演出も。
劇団☆新感線らしい、賑やかな製作発表の様子をレポートいたします。

時は江戸時代!弾圧に負けず芝居に命をかける「芝居者」の活躍を描く!

いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』ポスター

迫力ある演出や音楽、アクション。そこへ随所にユーモアも交えたエンタメ要素満載の演劇がウリの劇団☆新感線。1980年に大阪芸術大学の学生を中心に結成され、今年で45周年を迎えました。
節目の年に公演される作品は2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』。
舞台は贅沢も戯曲も御法度な江戸時代。強い弾圧を受けながら、名作『忠臣蔵』を上演すべく芝居作りに愚かしいほどの情熱を傾け奔走する演劇人を描きます。
今回出演する劇団員・元劇団員が勢ぞろいするのは1994年以来31年ぶり。また、表題の「チャンピオンまつり」は、2015年に公演された『オールスターチャンピオンまつり 五右衛門 vs 轟天』以来、10年ぶりとなり、45年分の作品からセルフパロディ・セルフオマージュをふんだんに盛り込んだ、ファン垂涎の内容となっています。

「タイトルの『爆烈』は爆発して破裂する『爆裂』じゃなくて、『爆発的に猛烈な人たち』という意味で『爆烈』。『純烈』の方の『烈』なので、間違えないでくださいね」と、口火を切ったのは、劇作家の中島かずき。
「『忠臣蔵』を描く作品はずっとやりたいと思っていましたが、なかなかまとまらなくて。今回45周年ということで気合を入れて書いたら、今までで一番長い脚本になっちゃいました。なので、20分切った。これでも長くなったらいのうえのせいですね」と、軽やかに演出・いのうえひでのりにバトンタッチ。

中島の挨拶を受けていのうえは、「長くなるかどうかはやってみないとわからないですね」と、返答。
「今回は『忠臣蔵』がテーマでありながら『忠臣蔵をやろうとする芝居者』を中心に据えている。そこが実に新感線らしい。昭和世代には『年末年始は忠臣蔵』と刷り込まれている人も多いと思います。ちょうど12月の終わりに幕を閉じますし、ちょっとしたお祭りにしたいなと。なので『忠臣蔵』はシリーズでいえば『いのうえ歌舞伎』にあたるけど、笑い特化の『チャンピオンまつり』でいいじゃん、と、いうことで」。

続いて口を開いたのは看板俳優の古田新太。本作では、闇の世界で無宿人をまとめる『無宿頭の弾兵衛(むしゅくがしらのだんべえ)』を演じます。
「もう、稽古は始まってるんだけど、今回は劇中劇が多すぎて……誰が喋っているのやら。役を掴みかねていて」と、ぽつり。
「最初の公演が松本ということで、この期間にどうにか30分、劇を短くできないかと日々、考えています」と、会場の笑いを誘います。

劇団員たちが久々の集結!製作発表は笑いが飛び交い大賑わい

古田に続いてマイクを握った橋本じゅんの役どころは、嘘を真に変える歌舞伎役者『荒村荒蔵(あらむら あらぞう)』。キービジュアルに映るその姿は、かつて自身が演じた『轟天』と瓜二つ。
「もう、『お前はそれ、つけとけ』ってノリで。轟天の眉は、マーキングみたいなもんです。いのうえさんも言っていましたが最近はテレビで忠臣蔵をやることも少ないので、祭りを味わう感覚で、ぜひ観ていただければと思います」。

続いて口を開いたのは高田聖子。今回は弾圧が強い江戸において歌舞伎の上演を許された江戸三座のひとつ「橘川座」の座元の妻『おきた』を演じます。
「19歳で劇団に参加したとき『演舞場に立っているつもりで演じるんだ!』と、いのうえさんが檄を飛ばしていたのが、すごく印象に残って。あの頃は『何を言ってるんだか』と感じたものですが、今になって本当に演舞場でチャンピオンまつりをやることになるなんて、いい未来があったな、と思っています」と、微笑みを浮かべます。

おきた(高田)の夫『橘川橘衛門(きっかわ きつえもん)』を演じるのは、粟根まこと。
「橘衛門は、その名の通りきっつい堅物で、破天荒なやつらを締めてまわる、という役柄です。でもどこか普段の私のようにも思えていて。私も含め、劇団員はありのままの姿で立ち回ることになりそうな気がしています」。
また、夫婦役ということで高田と衣装をお揃いにしてきたという粟根。すかさず二人の息子を演じる早乙女太一から「言ってくれれば!僕も合わせたのに」と、ツッコミが。この3人が演じる橘川座の面々の活躍にも期待が膨らみます。

「この機会を待ちに待っていました。お客様と同じくらい、ワクワクしています」と、目を輝かせるのは、弾兵衛(古田)の妻『おゆみ』を演じる羽野晶紀。
「久しぶりに先輩たちとご一緒しますが、会うとスっと昔に戻っちゃう。にこにこしちゃう。今回の公演もとても楽しみにしています」と、ニッコリ。
そこへぼそっと口を開いたのは古田。
「実は、始まる前に(中島)かずきさんに呼び出されて『羽野と高田とどっちをとる』って聞かれたんだよね。俺は『どっちでもいいよ』って答えたんだけど」。
この発言に「ひどーい!」、「私たちにも選ぶ権利がある」と、羽野と高田が猛抗議。会場はどっと笑いに包まれました。

「私、しばらく新感線を離れてて。その間ミュージカルで大活躍しちゃったんですよ。新感線ではパロディばっかりだったのにねえ」と、芝居好きの奉行『遠山金四郎(とおやま きんしろう)』を演じる橋本さとし。
「離れている間も新感線魂は燃えていました。気持ちは20歳!でも脳みそと体は年相応……最近、漢字がとんと読めなくなっちゃって。二幕とか、今までにないくらいセリフありますよね」と、中島をチラリ。すると「さとしさん本当に漢字読めないんだもん……本読みでガッカリさせられちゃいました」と、ため息を吐く中島。会場が爆笑に包まれます。

“おなじみの顔ぶれ”の豪華ゲスト。劇団員に負けない大活躍に期待膨らむ

本作では「準劇団員」とも称される3人のゲストが登場。

荒蔵(橋本じゅん)の娘『お破(やぶ)』を演じる小池栄子は『Vamp Bamboo Burn ~ヴァン! バン! バーン!~』(2016年)以来、4回目の出演です。
「私、劇団が立ち上がった1980年生まれなので、お父さん、お母さんと芝居をしているような感覚で。今回は(橋本)じゅんさんからレジェンドのお芝居をしっかり盗もうと思ってます」と、意気込みを語ると「やめとけ~」と、橋本じゅんからツッコミが。軽やかなやり取りに、親子のごとき阿吽の呼吸が垣間見えます。

早乙女太一は17歳の頃に出演した『蛮幽鬼』(2009年)が劇団への初参加。今回で実に8回目の出演となります。役どころは橘衛門(粟根)とおきた(高田)の息子で女形の『夜三郎(よさぶろう)』。マイクを手に取ると「初めて人殺しではない役なんです。不安です。殺さなくていいのかなって」と、独特の懸念を吐露。
「劇団が45年も続くのは奇跡だと思っていて。そのうえ、とてもエネルギーを使う興行だから、千秋楽まで駆け抜けられるかどうかもわからない。駆け抜けられたら、それも奇跡ということで。そんな二つの意味での奇跡を観に来てください」。
劇団員にも負けず劣らず、ユーモアたっぷりの挨拶に会場がどっと沸きます。

向井理は、『狐晴明九尾狩』(2021年)以来、3度目の出演。
「なぜか4年ごとに出演してるんですよね。オリンピックみたいな存在だと思ってもらえれば」。
今回は幕府に睨まれぬよう新作を描く狂言作家『真狩天外(まがり てんがい)』と、芝居を憎む堅物な若年寄『藤川采女(ふじかわ うねめ)』の二役を演じます。
「天外は(中島)かずきさんの気持ちが入っていそうな役だと感じていて。かずきさんとして演じた方がいいかなあと思っています。采女とは作る側と潰す側と相反した関係性だから、演じ分けはやりやすい。いちファンとして、出演できることがとても嬉しいですね」。

インチキで馬鹿馬鹿しいのに、バシッと決める!これが劇団☆新感線の真髄だ!

いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』メインイメージ

大賑わいのまま進む製作発表。各々に意気込みを伺うと、「楽しい芝居になる」と、中島。「45周年だし、お客様への『ありがとう』を込めて書きました。年末らしい『新感線の祭り』を観に来ていただければ」。

いのうえは「セルフパロディが多いんで、過去作を見てもらうとより楽しめると思います。忠臣蔵のあらすじも調べておくといいかも」とコメント。それを受けて「そうそう、少なくともこの芝居を観ても忠臣蔵はわかりません」と中島がうなずく一幕も。
「少なくとも令和の芝居ではないです。基本がインチキ(笑)。でも、劇団員、準劇団員含めて親戚一同が集まるような貴重な機会でもある。気合入れて頑張りますよ」。

橋本じゅんは「もともと大阪芸大で遊んでいた人たちですからねえ。プライベートな遊びを観てもらうのは、なんだか恐縮で」とはにかみます。「お客様には、ぜひぜひお運びいただけるようしっかり努めようと思います」。

「『この歳でもみんなで馬鹿馬鹿しいことをやってるよ』と、かつての私に伝えたいです」と、高田。
「こんな機会はなかなかない。だから、次もできるように頑張らなきゃ。たくさん応援してくださいね」。

粟根は「今回も素敵で強力なゲストが3人も出演してくれます。これを現劇団員と旧劇団員で迎え撃つ構図になる」と気合をにじませます。
「全員が全員と絡むのも劇団☆新感線の面白さ。きっとごちゃごちゃした芝居になる。そこを楽しんでいただければ」。

羽野は「私自身、末っ子のような感覚でぬくぬくしていて」と笑顔が絶えません。
「劇団☆新感線を観たことがない人も、何度も観ていただいた人も楽しめる作品になるよう、頑張ります」。

製作発表中、全方面からツッコミを受けていた橋本さとしは「大阪芸大のみんなが帝国憲法がミーティングで……」と、またしても笑いに振り切り。「ナイフを握りしめた18歳の炎が……みたいな心境です」と語るも、古田から「そこは新感線魂が燃えている!くらい言えよ!」と手厳しい一言が。

小池は「素晴しい先輩たちに囲まれて本当に幸せです。自分のできることを全力で果たして、お客様に喜んで帰っていただければ」と気合十分。「期待してくださいね」と、強い眼差しで言い添えました。

「稽古は始まったばかりですが、やっぱり皆さんの芝居がすごいんですよ」と、早乙女。「なんだか映像越しに見ていた皆さんの昔の姿がフラッシュバックする。でも、瞬きをしたら急に現在に戻って、みんな老いている。すごく目まぐるしくて、色々な感動がある。そこを感じてもらいたいですね」。

向井は「稽古で一幕冒頭を見て、ファン目線でゲラゲラ笑っていたんですよ。本当にくだらねえなって」と、稽古での一幕を披露。
「でもね、インチキだパロディだって言ってるけどお芝居自体はすごくしっかり作られてる。なので……ちゃんとやるので、どうかよろしくお願いします」。
この一言には登壇者から「向井さんのコメントには本当に助けられて」、「いつもありがとう」と、称賛の嵐が。軽妙ながら的確に劇団の魅力を引き出す向井のコメントは劇団員からも重宝されている様子。

最後にマイクを握った古田は「みんなの稽古を見てると本当に楽しそうで」と笑みを浮かべます。「太一君の言う通り、千秋楽までは持たないかもしれない。終わる頃には何人かいないかもしれません。なので、できるだけ早めに観に来てくださいね」と、ニヤリ。最後まで会場の笑いを誘い、製作発表を締めくくりました。

大爆笑必至の2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』は、9月の松本公演、10月の大阪公演を経て、11月より東京・新橋演舞場にて公演されます。劇団員勢ぞろいの貴重な公演、必見です!ご予約はぜひチケットJCBで!!