チケットJCB TOP

ミュージカル『破果(パグァ)』製作発表レポート特集

ミュージカル『破果(パグァ)』製作発表集合写真 ミュージカル『破果(パグァ)』製作発表集合写真

2024年に初演された韓国ミュージカル『破果(パグァ)』の日本版が、2026年3月から4月にかけて東京、大阪、福岡にて上演される。“60代女性の殺し屋”の主人公・爪角(チョガク)に花總まり、彼女に復讐を誓う青年トゥには浦井健治と、盤石の組合せが実現した。数々の舞台でメインを担ってきたふたりだが、意外にも本格ミュージカルでの共演は初めて。その他、映像作品だけでなく舞台でも確かな実力を発揮している中山優馬、話題のミュージカルにひっぱりだこの若手実力派・熊谷彩春、さまざまな舞台で独自の存在感を発揮している武田真治と、個性豊かなキャストが集結した。12月16日、演出を務める一色隆司と韓国オリジナル版の演出家イ・ジナも加わっての製作発表が行われた。

花總まり

原作は、ニューヨークタイムズによる「注目すべき本100選」にも選ばれ、世界13ヶ国で読まれている韓国のベストセラー小説(ク・ビョンモ作)。プロの殺し屋として生きてきた爪角は60代となり、心身の変化から引退を決意する。これまで無縁だった“守るべきもの”が出来た爪角の前に、家族を殺され復讐を誓う青年トゥが現れて……。原作の“韓国アクションノワール”の空気感を残しつつミュージカル化された本作は、芝居と歌に加えてハードなアクションシーンも見どころだ。

花總は「まさかこういう役が巡ってくるとは思っていなかったのですが、ストーリーを読んだ時に即決でやりたいと思いました。もちろん不安も大きいですが、これまでの私のイメージとは違う役を『見たい』と言っていただけたのは、役者として本当に幸せなこと。今の私にとってプレゼントのような気がしています」と話す。
爪角という役については、「若い頃から60代までこういう道を歩んでくることしかできなかった彼女の、抱えてきたものや押し殺してきたもの、でも忘れられなかったもの、思い出させられたものなど、その全てが私にとっては演じる上での魅力に感じました。公演中は無我夢中だと思うのですが、終わった後、私の中にきっと何かが残るだろうなと思わせてくれる役です」と興奮の面持ちだ。アクションについても稽古しているそうで、「ネットで調べて行ったところがスタントマン養成所で、それに気づかずしばらく通っていました」と笑いながらも、「今は、実際に(舞台用の)アクションをつけてくださる方に個人的にお願いしています」というからこちらも楽しみだ。

浦井健治

浦井との初共演については、「やっと“浦井健治様”とご一緒できることが嬉しくて」と花總が微笑むと、「ケンちゃんと言ってくださいと話したら、『ハナちゃんって呼んでね』と言われて。めっそうもございません!」と浦井が恐縮すると、演者や取材陣から笑いが漏れて和やかなムードに。
花總が「終盤、爪角とトゥが対峙するシーンがあるので、この陽気なケンちゃんがトゥとしてどんな顔で私を見るのか楽しみ」と言えば、浦井も「爪角を追い続けるトゥですが、最終的には爪角との関係性の中でいろんなことを学びながら、人としても成長していく。最後のシーンも爪角に対するさまざまな想いがあるので、そこに説得力を持たせられるような役づくりをしていきたい」と気合い充分だ。

爪角の初恋の相手リュウと、彼に面差しの似た医師・カン博士の2役を演じる武田は、「リュウは爪角を暗殺者として育てていく重要な役どころ。もう1つのカン博士のほうは、爪角自身が暗殺者であることに疑問を持ち始めるような、人生を見つめ直したくなるようなキャラクターになっています。全然違う役なので一生懸命演じたい」と話す。

中山優馬

また、爪角が所属するエージェンシーのユンを演じる中山は、「爪角さんにあこがれのような、恋心のような想いを持ちつつ、自分も殺し屋としての葛藤の中で過ごしている役。最後は彼がどんな決断をするのか見ていただければ」とアピール。
若い頃の爪角に扮する熊谷は、「孤独だった少女がリュウと出会って、そこからどんどん1人前の殺し合いに成長していく様子を、いろんな葛藤と共に繊細に演じられるようにしたいです」と意気込んだ。

  爪角を巡る男たちの濃密な関係性

花總まり・浦井健治

イ・ジナとは食事などを通して、日本版の演出について相談しているという一色。
「好きにやっていいですよと言っていただいているんですが、その分、頑張らないといけないなとプレッシャーを感じています(笑)。今回の花總さんについては、皆さんがあまり見たことがない役どころだと思うので、そこをいかに消化して自分のものにしてくださるかというのを期待しています。浦井さんはかっこいい中にもちょっとピュアな部分が垣間見える人。鋭い眼差しも持っている方なので、さっきおっしゃっていた“最後のシーン”が楽しみですね」と理想のキャスティングに満足げだ。 続けて「武田さんはオールマイティーだけれど、1つひとつの役に深く入っていく方なので、2役とも追求してくださると確信しています。中山さんとは2度ほどドラマでご一緒していて、すごく器用な方だなと。そこを忘れて無我夢中になるくらいのキャラクターを一緒に作っていきたいですね。そして熊谷さんには、爪角の若い頃というのは意識せずに、思い切り演じてほしいなと。(花總と)ふたりで演じることで、爪角という人間をより立体的にお客様に届けたいと思っています」と、演者それぞれに期待を寄せた。

演出した舞台のほとんどが韓国でロングランとなっているイ・ジナだが、「この作品を韓国で舞台化しようとした時、ミュージカルとしては普通の作品ではないことから、周りからかなり心配されました」と振り返る。結果的に本作は成功を収めたが、「自分としては爪角と周りの関係性をもっと描きたかったのですが、初演でもあり、原作に忠実に舞台化することにしたので、ストーリーをそこまで変えることはできなかったんです。でも今回の日本版は一色さんの演出によって新たな解釈が加えられると思うので、とても楽しみにしています」と笑顔を浮かべるイ・ジナ。一色も、「爪角とトゥ、そしてユンの関係性を、もっと濃密にできたらと思っています。ちょっと三角関係にも見えるようなニュアンスで」と演出プランの一端を明かした。
他では見られない登場人物たちが織り成す、スリリングな物語。最後まで期待の高まる製作発表となった。

取材・文/藤野さくら
撮影/石阪大輔
ヘアメイク/松田美穂(アルール)

<JCB半館貸切公演>
♦日時…3月14日(土)5:00PM
♦会場…新国立劇場 中劇場(東京)

【アフタートークショー開催】
浦井健治×中山優馬
※出演者は変更になる場合がございます